2月のことだが、笠利の蒲生崎観光公園〜展望台へ久しぶりに行ってきた。
赤木名集落と川上集落の間に公園まで降りていく道がある。
入り口の案内板に「蒲生崎観光公園 ← 35㎞」と書かれている。
…のわけがない、でも、35㎞に見えてびっくりした。
詰まった数字の間に小さな点があるので、「3.5㎞」なのだが、それでも結構遠い。
(長いな…この先の突端にはちゃんとUターンできる場所があるよね…?)
他には車の往来がないひっそりとした道を下へ下へと降りていると徐々に不安になってくる。
着いてみるとフツーに広い駐車場があり、展望台へ続く道もきれいに整備されていた。
ただ、人がいなくて閑散としている。
展望台は、青と白の鮮やかなコントラストのまるで竜宮城のような印象のコンクリート造りの建物だった。
四方が開かれたテラスのようになっていて、そこから海も山も周囲一帯が一望できる。
展望台から駐車場までのアプローチの途中に「蒲生神社」の案内板が立っている。
その矢印の指す方向には眼下の雑木林へ誘うようなゆるい階段が延びていた。
この時期ハブは出ないと思うけど、何かあったらヤバイよな…ひとりだし…
と、しばらくの逡巡の後、恐る恐る降りてみた。
少し前にハブが木から落ちてきて首を噛まれ人が亡くなったとかの話を聞いたばかりだった。
ケータイを首の上にかざして防御の姿勢をとりながら…いつ引き返そうかと迷いながら…
しかし、奥に深いと思っていた道は、意外なほど短くてその先に木造の建物が見えた。
蒲生神社だった。
短い石段を上がると鳥居の両脇に年代の古そうな石像が置かれている。
社殿は、屋根がトタン張りの比較的新しい建物だった。
境内の石碑には歴代の神主の名前が刻まれており、この神社が大切に守られてきたことが伺える。
この辺りにも平家の落人伝説が絡んでいたと思うが、調べていないのではっきりしたことは分からない。
神社のすぐ脇には、山肌を削っただけの今は段差もおぼろげな階段が上の道(展望台のアプローチ)へ続いていて、滑って転げた人もいるのではないかと思いながら、戻りはそこを上った。
それにしても、よくもまあこんな場所に神社を祀ったものだ。
屋仁集落から入る古道もあるようだが、道は平らかではなく草も生えているだろうし、それなりに距離もあるはずだ。(いつか行ってみようと思う)
険しく長い道を踏み越えて参拝に訪れていた昔の人たちの信仰の篤さを思うと感慨深いものがある。
信仰心に支えられていた彼らは僕のようにハブにビビったりはしなかったのだろう。
そういうものがあれば人は強くなれるものだ。
”人はパンのみにて生きるにあらず”
されど、僕には先ずパンが必要…
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