不思議なケンムンの世界を描き続ける源五郎光さんの新居におじゃましてきた。
まだ全部引っ越しの荷物は入っていない様子だった。
あまり生活感のない家に写真と本だけがたくさん置かれていた。
しばらくして本棚にある手作りの絵本群を見つけた。
若いころにたびたび訪れたインドでの出来事を絵本にしたものだった。
絵本を読ませてもらいながら色々と質問攻めにした。
インドに何度訪れたかはっきりした回数は分からないらしい。
チャンスがあればいつでも行けるように常に荷物をまとめていたという。
相当インドに魅せられたようだ。
1回の滞在で1カ月ほど居たというのだからほとんど放浪記である。
ガンジス河に浮かぶ死体を日常的に見たり、見ず知らずの女性から赤ん坊を押しつけられそうになったり、虫さえも殺さない素っ裸の少数民族に出くわしたり、色々な体験をしてきたようだ。
それらの珍しい体験を「インドをあるく」というシリーズで手製の絵本にしている。
インドの人たちを暮らしぶりを写した写真もたくさんあった。
これだけ色々な体験をしながら、「人生観が変わった」とか、「価値観や思想が変わった」とか「人生で大事なことに気づいた」とか一切言わないのがすごいと思った。
そういえば、インドに行ってきました的なガネーシャのタペストリーとかも見当たらない。
僕だったら、これだけの体験をしたら自慢したくなるのに・・・。
源五郎さんはどこまで行っても普通で穏やかなのだ。
でも、源五郎さんの描く絵は普通じゃない(良い意味で)。
インドを旅していたんだなぁと思うと何となく納得できる気がする。
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