図書館で借りる本を物色しているときにあるタイトルに目が止まった。
「カキフライが無いなら来なかった」
面白いタイトルだなぁと思い手にとったが特に中身も見ずに書棚に戻した。
一度に5冊まで借りることができるが、4冊めでもういいか、という気持ちになり手続きを済ませて図書館から離れた。
しばらく車で走った後、図書館にいる間ケータイを車に置いていたので誰かから電話がかかってきたかもしれないと思って確かめてみた。
僕が図書館に行くことを知っていた娘からラインにメッセージが届いていた。
「図書館で「カキフライが無いなら来なかった」という本を借りてほしい」
7月16日 11時48分
ぼくがちょうどその本を見つけたあたりの時間である。
「すごいな・・・」
あまりの偶然に驚いた。
それにしてもなぜ図書館を出る前にケータイを確認しなかったかと悔やまれる。
一通り用事を済ませてから図書館へ戻りその本を借りることにした。
だが、いくら探しても見つからない。
あれだけさっと目をひいたのだからすぐに見つかるだろうとたかをくくっていたのだがさっぱり見つけられい。
パソコンで検索しても分類番号では探せなかった。
本がどうやら短歌や俳句のコーナーに分類されていることを手掛かりに端からなめるようにして確かめてようやく見つけることができた。
残り1冊の枠で追加で借りた。
借りてから初めて気付いたがそれはお笑い芸人の又吉直樹がせきしろという人と共同で出した自由詩の本だった。
そしてもうひとつ
翌17日の夜ケータイが鳴ってそれは見知らぬ番号だった。
こんな遅くに何だろうと思ってとると、呼びかけても返事がない。
ザブン、ザブンと小舟の上で揺られているような波音(水音)がする。
他には何の音も聞こえないので子どもがイタズラしてかけたものでもなさそうだ。
いったん切ったあと、もしかしたら誰かが海で困ったことになっているのでは?と思い
こちらからリダイヤルしてみた。
しばらく呼出し音が続いた後に男性の声で返事があった。
そちらから電話があったので掛け直したと告げると「知らない、今仕事中だから」と切られた。
不審電話の扱いだが、まだいいほうである。
以前ケータイの履歴にかけ直して用件を尋ねると、電話に出た女性から「私は電話なんかかけていません」ときっぱり。じゃあ、間違いだったのですねと問い直すと、「はぁ~!あなた誰ですか? いいかげんにしないと(警察に?)通報しますよ」とすごい剣幕で切られた。
なので、見知らぬ番号へのリダイヤルはちょっと抵抗がある。
しばらくして先ほどの番号から再び電話がかかってきた。
今度の男性の声は快活でどうやら間違えて電話をかけてしまったことを履歴から気づいたようである。
そして相手は僕のことも知っていた。
僕も声を聞いて相手を思いだした。番号を登録するのを忘れていたようだ。
たまにこうやって勝手に?電話をかけてしまうのでスマホはこわい。
ところで、さっきは電話からずっと波の音がしていたので、海に居るのですか?と尋ねると
「海? いや・・・あっ・・・ほぉー!」何やら驚いた様子。
本当に波の音だったか?と聞くので、ずっとその音がしていたと告げると
「それは僕にとって良い知らせだな・・・」と意味ありげ。
実は、彼は油絵を描いていて没頭していたので間違えて電話をかけたことも気づかなかったようだ。
掛け直した僕の電話で作業を中断されてムッとしくだんの返事になったのだろう。
そんなに夢中になって何を描いていたかというと「海」だったのである。
「海の上に・・・」と少々詳しい説明をしてもらったが、いずれ発表する予定だと言うので詳細は明かさないことにする。
どういう状況で電話から波の音が聞こえていたのか分からないが、彼が気を良くしたことは確かである。
いずれまた会いましょうと上機嫌で電話を切った。
と、これが最近の「偶然」の話。
これに似たことは過去にもいっぱいある。
重い病気とか亡くなったとか噂されていた人のことを突然ふと思い出して、そういえばどうしているのだろう?と考えたとたん
その本人から声をかけられて飛び上がるほど驚いたことがある。
就職先で迷っているときに、数年ぶりに帰省していて町で会った友人が偶然その会社の本社がある都市に住んでいて「絶対こっちが良い」と勧めてくれたこと。
それまで僕はもう一つの方に気持ちが傾きつつあったが、その会社は数年後に倒産した。
彼のアドバイスのおかげで働きがいのある職場で永く勤めることができたのだ。
その職場でもたくさんの「偶然」に助けられた。
これらがいわゆる「シンクロニシティ(共時性)」というものなのだろうか?
できれば「ラッキーな偶然」にどんどん出会いたいものだ。
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