ハブが出た!
夜の帰り道でハブに遭遇した。
ついさっきのことだ。僕の住む集落の入り口の三叉路を右に折れてすぐヘッドライトの中ににびよーんと伸びたハブが映った。びっくりしてブレーキを踏み、一瞬躊躇した後すぐにそれを轢いた。一度轢いたくらいではハブは死なない。そのままバックしてライトの先を見ると、いない・・・。えーっ、いない!確かに轢いた感触があったのに・・・。
いったん車を走らせて少し広くなった処でUターンして探してみたが見つからない。再びUターンして元の方向に戻して目を凝らしてみると・・・今度は居た。道路端の側溝の脇でとぐろを巻いてじっと動かない。
うーんどうしようかな・・・この状態で轢こうとすればタイヤが側溝に落ちる可能性があるし、かといってそのまま去ってしまうわけにもいかない。この道はみんなが利用しているし、徒歩で通る人もいるのだ。
突然横に乗っていた女房が「あ、そうだY元兄ならきっと大丈夫だ」と言って携帯電話で助けを求めた。Y元兄は同じ集落に住んでいて割と何でもやるたくましい人だ。
約5分後に軽トラックでやってくると落ち着いた様子でハブ捕りセット(ハブを捕獲する棒と保管する木箱)を取り出して、おっかなびっくりで見つめている夫婦の前であっけなく捕獲して木箱に納めた。
ハブは役場に持っていくと一匹4000円のお金になるのだ。撲滅するための助成や血清をとるためのお金らしい。以前は5000円もらえたのだが、需要と供給の関係だろうか、4500円に下がり、やがて4000円になった。
だからハブ捕りの道具を持って普段から車に積み込んでいるような人にとっては、猛毒のハブを駆除したというよりも道に落ちていた千円札を拾いあげたといった感覚なのだろう。「一回轢いてるからや、月曜日まで生きているかい?」とハブの命を心配していた。死んでしまえばお金にならないからだ。
「ついでにもう少し回ってくる」と言ってその場を立ち去った。どうやらハブ捕り魂に火がついたようだ。
僕らは家に帰りついてから駐車場から玄関までのやや薄暗い中を目を凝らして歩いた。くねくねと動く生ハブを見たばかりなのでなんとなく足元が頼りなくて落ち着かない。本格的な夏に向かうこの時期に彼らの活性が高まるので遭遇する機会が増えるのだ。 台風来るし、ハブ出るし・・・。奄美の夏はそこが悩ましい。
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