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2019年3月 8日 (金)

夢見ごこちでいいと思う

テレビで、プロレスラーの「ザ・デストロイヤー(88歳)」が亡くなったとのニュースを見て、還暦を前にしてプロレスラーになった男性のことを思い出した。

それは、数日前のテレビニュースで放送された話題だった。

その男性は若いときにアントニオ猪木が立ち上げた新日本プロレスでレスラーを目指していたが、途中で自分には無理かもしれないと自信を失くして夢を諦めたらしい。

それが、還暦を目前にして突然「このまま人生を終えたらきっと後悔する、レスラーになってリングに立ちたい!」という強い衝動に駆られて、再びプロレスの門を叩いたのだ。

元々レスラーを目指していただけあって体格は良いのだが、さすがに58歳の身体で激しい訓練に耐えていくのは並大抵の決意ではなかったはず。

テレビでは、男性が夢を叶えてリングデビューを果たすまでを追っていた。

試合には負けたが、おそらく事情を知っているであろうプロレスファンから熱い声援を受けていた。

どんなスケールにせよ、夢を叶えることができたらそれは幸せなことだろう。

ずいぶん前に見たアニメ「ロボッツ」で、夢を諦めた主人公が父に電話した際に、父が「夢を諦めても、その夢はおまえをどこまで追いかけてくるぞ」と言った…

と、思い込んでいた。

あとで確認したら、「一生後悔するぞ」と普通の言い方だった。

なんで「夢が追いかけてくるぞ」と聞こえたのか分からないが、そのときの僕の心情がそういう風に受けとめたのだろう。

「夢」は、やっかいだ。

それが明確なら人生を左右するし、おぼろげならいつまでも胸にくすぶり続ける。

「夢」が純粋で真っ直ぐであればあるほど、叶わないことが多いはずだ。

それは人生を限りなく消耗させるかもしれない。

そうなる前に手放すか? しかし、どこで踏ん切りをつければいいのか迷うはずだ。

僕の場合は、すごく曖昧な夢…のようなものだったので、激しく感情がたぎることもなく、絶望もなかった。

だから、夢に向かって一心不乱に打ち込んでいる人を見ると眩しいし、羨望に似た感情を覚える。

でも、ぼんやりとした夢(?)は、なんだか湯たんぽのように温くて抱き心地がいいのだ。

たぶん、ほとんどの人が抱いている夢がこの類ではなかろうか?

そして、僕が「マンガやイラストを描く」という点においては、規模は小さくとも何とか実行できているように、たとえ、プロのミュージシャンとして大舞台に立てなくても、小さなステージで演奏して、それなりに幸せを感じている人がたくさんいるのではなかろうか?

ストイックに大きな夢を追って叶えていくのは、それができる人たちに任せておいて、そうでない人たちは、おぼろげな夢を抱きしめ、温め、燻らせ、ときに燃え、ときにひび割れて、でも、あとから思うとまあいい人生だったかなと言えるような、夢見ごこちな生き方でいいんじゃないかな、と。

とっても曖昧だけど、そんな感じ。

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くだらない夢など見ない!と言う方が地に足がついて一見強そうに見えるけど、実際に強いのかもしれないけど、たぶん当たらないよなぁと言いながら宝くじとか買う方が好き。

強固な意志をもって突き進む鉄人のそばだと自分が割れそうで怖い。

ちっ、まだ寝てるとか言われても、あったかい布団で幸せな夢を見ていたい。

そうやっているうちに人生を逃げ切りたい(笑)

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