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2019年3月 3日 (日)

静かな高倉

しーまの取材で先月笠利の川上集落へ行き、現存する高倉を見学させてもらった。

屋根は台風で飛ばされたあと、茅葺からトタンに変わっていたが、柱が太くて堂々とした高倉だった。

この高倉以外でも、経験者の高齢化もあり、茅葺きができる人がいなくなったためにだんだんトタンに変わっていく事情があるようだ。

茅葺きにはそれなりの人手がいるが、トタン葺きなら大工さんだけでできる。

茅葺きの家を保存するためにカヤにファイバーをかけたという例もある。

高倉が現役の頃はこの蔵に脱穀した米などを保管していたとのこと。

滑車を引いてはしごを滑らせるようにして重い米袋を上げたという。

以前は農村生活を支える大事な役目を負っていた高倉だが、農業人口の減少や交通の発達で食料の入手が容易になったため、次第に使われることがなくなった。

面倒なカヤの葺き替えが必要だったり、台風による破損などがきっかけでだんだん撤去されていき、今や観光用として設置されているのがほとんどではなかろうか?

(ああ、でも、奄美文化センターの高倉は去年の台風で無残な姿になってしまったが…)

ところで、この家で見た高倉は、大和村の群倉(ボレグラ)や公共施設で見るような、奄美で一般にイメージするタイプではなく、倉の部分が立ち上がっているので庫内は広い。

誰にも邪魔されない趣味の空間として、男が憧れる”隠れ家”的な使い途があるかもしれない…と想像をめぐらせる。

ログハウスの代わりに奄美発の高倉キットとかあれば楽しいかも。

柱はそんなに高くなくてもいいかな、酔って落ちると大変だから(笑)

Dsc_0710_2

惠義盛さんのスケッチ画には、身近な風景として高倉とその周りで働く人々が描かれている。

ここの周りに人が集まり、ソテツの実を割ったり、ソテツ葉をくくったり、米を脱穀したり、あるいは、足元の日陰で休んだり、子ども達の遊び場になったり…と様々なシーンで人々の生活に寄り添ってきたのだろう。

昔の島の暮らしを静かに語ってくれる大切な存在だ。

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