「怪傑 耶茶坊」を観た
16日の夜、町の公民館で1956年の日活映画「怪傑 耶茶坊」を観た。
会場の中央には懐かしい映写機が設置されていた。
子どもの頃にこの公民館で地方回りの映画上映のときに目にしていた映写機だ。
その頃町には「中央館」というりっぱな映画館があったが、そこで上映されるちゃんとした映画ではなく、テレビからひっぱってきたような子ども向けのマンガ映画を上映していた。
その当時使われただろう映写機が置かれたレトロな空間。
事前に「フィルムが古いので音声が聞き取り難いですが・・・」と前置きがあり、58年前のモノクロ映画が上映された。
ストーリーは、平和な奄美大島に薩摩の軍団がいきなり攻めてきて島を制圧し、その圧政に対し野茶坊を中心とした島民が立ち上がり、これを打ち負かすというものだ。
脚本を書いたのは古仁屋の出身者とか。
生活様式や文化は奄美と沖縄のイロイロをミックスしててんこ盛りしたものだ。
名前も主人公が「耶茶」、恋人が「イマ」(これってあのイマ・・・伝説の・・・)、男性に「加那」がついたり・・・。
当時の内地における「奄美」の認知度を考えるとまだマシな方だろう。
ところどころ音声が途切れたり、雑音が入ったりしたが、映像はきれいで十分楽しめた。
前篇と後編があり、間に休憩をはさんで上映された。
その間に技師たちがフィルムの交換をしていた。
前篇59分、後編43分の上映がすべて終わり、片付けとなった。
主催者は、機材も何もかもぶっつけ本番に近い上映を無事に終えて心からほっとした様子。
フィルムの巻き戻しは手巻きで行っていた。
(ピンボケ・・・)
糸車のように巻きとっていく。(摩擦熱が起こるので手に布を当てて行う)
その光景が面白くてずっと見ていたら、残りの1本の巻き戻しをやらせてもらえた。
「力がいるよ」と言われて代わったが
それほどでもなくスムーズに巻きとっていった。
しかし、真ん中あたりからだんだんきつくなってくる。
ずっしりとした重みを感じながら、もう片手では回せなくなり両手で腰も使いながらなんとか巻きとった。
日活の倉庫に半世紀以上眠っていた、奄美で上映しない限りは、もう出番もなかっただろうフィルムだ。
DVDにすれば家庭でも観れるのにと思ったが、制作費がかなりかかるということで、収益が見込めない作品はDVD化しないようだ。
だとすれば、二度とない貴重な映像を観たことになる。
上映会スタッフに感謝。
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