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2011年1月20日 (木)

似顔絵のチカラ

月刊の新聞に連載していた漫画が昨年末で終わってから、毎月の決まった締切がなくなった。読者のページで漫画のことは誰も触れなかったし、新聞社の人も特に新シリーズに繋げたいといった雰囲気ではなかった。

「何かあったら、またよろしくお願いします」 お互いにそう言って別れた。それっきり新聞社の人とはコンタクトをとっていない。

いったいあの漫画はどうだったのか、いまだに分からない。何の手ごたえもないままにひとつの仕事を終えた。

今は似顔絵だけを描いている。

似顔絵は面白い。モデルはもちろん、それを見た人がすぐに反応を示してくれるからだ。「似てるー!」と言われるのが、もちろん一番嬉しい。

これまでに注文を受けた中には色々なケースがあった。すでにかたわれを亡くした人を時を経た夫婦のままで描いたこともある。事情があって結婚式をあげれなかった夫婦をウェディングドレスとタキシードを着せて描いたことも、和装に変えて描いたこともある。

写真の合成で作るとわざとらしいが、イラストだと違和感がなく、受け入れてもらえるようだ。

作品を見た人から似顔絵の表情をほめてもらったことがある。どれもみな表情が優しいと。描く人の人柄がにじみ出るものだと真顔で言われたので赤面したが、意外なところを褒めてもらえてとてもうれしかった。

先日加計呂麻島に住む同窓生の自宅で一緒にお酒を飲んだ。余興のつもりでその場で娘さんの似顔絵を描いた。マジックで下書きなしで描いたのでいい出来ではなかったのだが、けっこう喜んでくれた。

これぐらいで本当に喜んでもらえるのなら、お年寄りのいる施設を訪問して似顔絵ボランティアをしてみたい。実は昨年末に近くの施設に電話をして、似顔絵ボランティアの件を切り出したことがあるのだが、年末はずっと忙しいので対応できないと断られた。クリスマスに間に合わせたかったのに残念だった。もしかしたら、こちらの意図が理解できずに警戒されたのかもしれない。

商売につなげようという色気があるわけじゃない。ただ、似顔絵を描いてお年寄りに喜んでほしいだけ。僕の絵の練習にもなる。

帰り際にその同窓生から夫婦の似顔絵を頼まれた。「結婚式の写真がないから、絵で描いてくれ」と。

どんな風に描こうかと今悩んでいる。喜んでもらえるように、二人の記念になるように、最高の絵にしたい。

似顔絵にはそういうチカラがある。

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