防災グッズあったはず
8年前の3月11日に東日本大震災が発生したとき、子どもたちは関東圏に居て地震に遭遇している。
震災直後は、携帯電話がまったく繋がらず随分気をもんだ。
テレビでは、津波により甚大な被害を受けた東北地方の惨状や福島原発の原子炉建屋が損壊して放射能が広がりつつある緊迫した状況が連日報じられていた。
それ以前から首都圏直下型地震が発生する確率はかなり高いと警鐘が鳴らされていたので、実際に発生した大震災の脅威を目の当たりして人々の「防災」への意識は一気に高まった。
被災した際の非常食やサバイバルグッズなどを詰め込んだ防災バッグが続々と販売された。
親のいくらかの気休めとして、子どもたちにもそうしたものを送っておいた。
わりに呑気な我が家でも、リュックに懐中電灯や救急箱や缶詰などを入れて、いざという時に備えるそれなりの態勢をそとった。
それから8年…
賞味期限の切れた非常食は食べ尽くして補充しておらず、ビニール袋なども使ってしまったので、今はリュックに何が残っているのかさえ把握していない。
そのうちにチェックしようと思いながら日々やり過ごしている。
大きな地震が今日にも発生するかもしれないのに、正常性バイアスがかかって油断しきっている。
都合の悪い情報には向き合おうとしない人間の性…かの一休禅師はそれをよく知っていて、口癖のように戒めていた。
「御用心、御用心」と。
娘が高校生のときに作ったこの不思議な塑像の中に防災グッズが入っている。
家が崩壊したとき最も立ち入り易い場所だと聞いてこれを玄関に置いている。
住人はもうすっかり慣れているが、初めて訪れる人はこの奇妙な四つ足に驚くかもしれない。
でっぷりと太っていて逃げ足も遅そうだが、いざというとき大丈夫か?
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