武下和平さん
26日の「武下和平 ひぎゃ節 フェスティバル」におばと一緒に出かけた。
シマ唄の大御所、しかも瀬戸内町出身。
そして、大変失礼だが、ご高齢なのでこの機会を逃したら次があるかどうかわからない。
帰郷して僕が最初に買ったシマ唄のCDは「武下和平傑作集」だった。
とくにシマ唄に興味があったわけではないが、氏の唄声は物売りの車から流れ、町中のどこかから流れと、幼いときから耳になじんできた懐かしい調べなのだ。
きっと多くの人が同じような記憶をもっているに違いない。
舞台では、武下流門下生のシマ唄があり若手の唄がありの構成で、武下さんご本人のシマ唄は数曲だけであった。
のどの調子もいまひとつのようで何度も水でのどを潤していたが、それでもとにかくナマ唄を聞くことができた貴重な機会だった。
娘のかおりさんと一緒に親子で歌う姿が実に幸せそうでほほえましかった。
話の端々で笑ったり、娘に「なぁ!」と何度も同意を求めたり、武下さんはとても気さくな方なのだなと感じた。
シマ唄が好きなおばは終始身をのりだして真剣に聞き入っていた。
特別ゲストとして築地俊造さんも3曲歌った。
3曲目は珍しく坪山豊さん作詞作曲の「わいど節」だった。
「だんだん唄が歌えなくなっていく豊あにょを励ますために・・・」と気になる発言もあった。
もしかするとだいぶ具合が悪いのかもしれない。
昔買ったCDの武下和平さんは髪も黒々として若かったが、目の前の武下さんは80歳を超えて白髪で少しでっぷりとした快活なおじいさんになっていた。
築地さんもいつのまにか歳をとっていた。
横で熱心に唄を聞いているおばも80歳になった。
歌う方も聞く方も記憶のしっぽにつかまりながらすべり落ちそうになっていく。
僕も80歳まで生きたとして、こうしてシマ唄を聞きにいったりするだろうか?
そのとき舞台に立っている唄者は誰だろう。
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