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2013年4月19日 (金)

「みえない雲」

通販カタログ誌の「通販生活」の付録にDVDがついていた。

2006年公開のドイツ映画で、原発の恐ろしさを書いたベストセラー小説が原作とのこと。

気になりつつもそのまま置いていたが、今夜それをやっと見た。

小さな村で原発事故が発生して、周辺が立ち入り禁止となり、被災者たちの人生が狂わされていく・・・って、これはまさに日本で起こった福島原発と同じような状況ではないか。

映画の最後に、「現在ドイツでは17基の原発が稼働しており、2004年の1年間だけで124回のトラブルが発生している」とのテロップが流れた。

そして、2011年に福島原発で最悪の事故が発生し、まさに映画さながらの状況が生まれた。

立ち入り禁止で自宅に戻れない人、放射能汚染で農産物や水産物が出荷できず仕事を失う人、ショック症状や健康被害(これから更に拡大していくのか・・・?)

小説や映画で描かれた恐怖が現実のものとなり、ドイツは、「脱原発」に大きく舵を切った。

それは簡単なことではないが、何より、国民の多くが「脱原発」を支持しているようだ。

被災地の日本でも、多くの国民が「脱原発」を訴えて首相官邸前で大規模なデモとかやったけど・・・。

当時の政府も呼応して「脱原発」の実現を目指すとか言っていたけど・・・

「原発ゼロを可能とするよう・・・あらゆる政策資源を・・・柔軟に・・・」と、極めて歯切れの悪いエネルギー政策を掲げて、トーンダウン。

原発停止時期の電力不足を「計画停電」で思い知らされ、やっぱり電気は必要だよねと、(原発も)仕方ないか・・・みたいな空気が流れてきたらすかさず電気料値上げ。

一刻も早く原発を元通り稼働させないと、電力コストは上がり続けるし、ひいては日本経済にも悪影響を及ぼす・・・って

自社に不都合な情報を隠し続けた電力会社の言うことがどこまで真実なのか判断がつかない。

ただ、原発の安全神話が幻想だったことと、もし原発で事故が発生すればどういう事態になるのかははっきりした。

広瀬隆さんが「危険な話」で書いていたことは本当だったんだ。

でも、電気の不足する生活を我慢するのか?それとも、放射能のリスクを負うか?といった二者択一しかないのかな?

福島原発だけでもまだ処理できずにいるのに、南海トラフ地震が起こって各地の原発が被災したら、ほぼ日本はだめだよね・・・って心配しすぎ?

ところで、この映画で僕が一番恐かったは、放射能の被爆ではなくて、事故発生直後の市民がパニックを起こす場面。

「みえない雲」が迫ってくる緊迫した状況では、普段の人々つながりとか社会の秩序とかたやすく崩れてしまうんだという恐怖。

キレて発砲する人、子どもをはねてそのまま走り去る車、避難所を目指して倒れた人を踏みつけながら我先に逃げる群衆・・・。

「辛抱していれば救済は必ずやって来る」と信じられる状況なら、我慢強くて礼儀正しい「日本国民」でいられると思うけれど、大規模地震で日本中が一斉に被災して、交通網は壊滅、政府は混乱・・・という状況だったら・・・。

そのとき各地で放射能漏れが起こっていたら・・・。

映画を観終わってしばらく固まってしまった。

Photo_7

ちなみに映画のラストは「悲惨なまま」ではない。

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