電子出版でも最も売れた作家の講演
瀬戸内町の図書館が開設されてから今年の7月で20周年を迎えるらしい。
その記念イベントとして、瀬戸内町出身の作家、藤井太洋さんの講演が企画された。
藤井さんは2012年に「Gene Mapper」を電子出版して、キンドル市場で最も売れた小説として一躍脚光を浴びた。
僕は電子出版を購入したことがないので、当然氏の作品も読んでいない。
それほど興味もなく、スタッフ側の友人からぜひ出席してと言われて、いわばお義理で参加した。
なので、始まってすぐに眠りに落ちそうになり・・・入口でもらったパンフを落として我にかえった。
とても真面目な人らしく、ジョークを交えて面白おかしく話す感じではないので、眠気を克服しながら聞き続けるのに努力が必要だったが、
出版するにあたっての体験談などは成る程と聞き入った。
作家としてデビューするつもりなら、同人誌やブログなどで安易に作品を掲載してはだめだと言う。
どんなカタチでもいったん発表されたものは新人賞に応募できないからだと。
日本は小説などの発行部数が1万部を超し、どこの出版社も持ち込みの原稿に目を通す余裕などないので、新人賞に応募するのが一番確実な方法だとも。
そして、それ以外の方法として、氏がデビューしたような電子書籍として出版する方法も紹介された。
出席者からの質問の中で「私にも小説が書けそうな気がしてきました」という率直な意見があったが、
それに対して藤井氏は、「小説は誰にでも書けます。読んでもらえるかどうかが肝心」みたいなことを言った。
ごもっとも。
誰でも簡単にプロになれるならあらゆる業界は衰退する。
裾野におびただしい数のアマチュアが存在するからプロがプロとして生きていけるのだから。
スポーツ界なんかが分かりやすい例だ。
僕は自分で小説を書く気にはぜんぜんなれなかったし、書けそうな気もしなかった。
その代わり、電子出版の話で、小説ではなくマンガなら・・・と、それは僕にも少し可能性がありそうで刺激を受けた。
そのおかげで居眠りして椅子から転げ落ちることもなかった。
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